ロマンスに心酔



だって、だって、


「ひ、さしぶり、だから⋯⋯」


顔が見れない。

俯いて小さな声で言う。


「久しぶりだから、顔見せてよ」


「う、む、むり⋯⋯!」


「なんで」


「むりなものは、むりです⋯⋯!」


つながっている手を思わず引っ張るけれど、離してくれない。

むしろもっと強くつながれて、ますます手汗が滲む。


「こら。何で離そうとすんの」


「うう⋯⋯」


心臓がもたないからです⋯⋯!

もう頭がショートしそう。


「どーぞ」


「し、つれい、します⋯⋯」


「⋯⋯ふ。真っ赤だ」


「⋯⋯っ!」


やっとせんぱいの車に辿り着き、助手席のドアを開けてくれたので乗り込むと、顔を覗き込まれ目が合う。

速攻で顔を逸らしたけれど、真っ赤な顔は見られてしまった。


「かわいいな」


そう言いながらドアを閉められる。

もう何も考えられなくなって、助手席で両手を握りしめて縮こまった。


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