ロマンスに心酔



「⋯⋯あしたの予定は?」


「あしたも、特に何もないです、よ?」


「⋯⋯じゃあ、泊まる?」


「へっ」


顔を横に向けて、気づいた。

⋯⋯せんぱい、耳、あかい。


「⋯⋯いや、言い方直す。泊まってよ」


「⋯⋯い、いん、ですか⋯⋯?」


「おれは泊まってほしい」


「⋯⋯っ、と、まります」


「⋯⋯ん。じゃ、さなんち寄る」


「ありがと、ございます⋯⋯」


さらっと“さな”って呼ばれたし⋯⋯!

なんか、もう、だめだ。

わたしも頬が熱くなってしまったので、手のひらで冷やす。


わたしの家に、お泊まりに必要なものを取りに行ってから、いよいよせんぱいのおうちに向かった。


「お邪魔します」


「ん。⋯⋯おかえり」


「へ⋯⋯っ」


ぼそっと聞こえた声に思わず反応する。


「た、ただいま、って、言っていいんですか⋯⋯っ」


「もちろん」


「っ、た、だいま、です!」


せんぱいのおうちで、ただいま、なんて。

なんか、うまく言えないけれど、すごく、幸せだ。


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