ロマンスに心酔



「⋯⋯さなって、元彼何人いるの」


わたしの頭に顎を乗せながら、せんぱいが唐突に言う。


「へっ、えーと、⋯⋯ふ、たり?」


「ふうん。⋯⋯ふたりめとはいつ別れたの」


「大学生のときです。何年生だったかなあ⋯⋯」


「⋯⋯じゃあ、こういうの、久しぶり?」


「は、い⋯⋯ごめんなさい、慣れてなくて⋯⋯」


「え、慣れてるほうがやだよ」


「そ、ですか⋯⋯?」


そもそも恋愛経験が少ないから、今もどうしていいのかまるでわからない。

もっとかわいく甘えられたらなあ、なんて思う。


「せんぱいは、恋愛経験、豊富ですよね」


「そんなことないよ」


「でも、わたしよりかはある、でしょう?」


「⋯⋯まあ」


⋯⋯わかってた。わかってたよ。

大学生の頃だって彼女いたし。

いまも、余裕そうだし。

⋯⋯でも、やっぱり、もやもや、する。


考えても仕方のないことだ。

もやもやを頭から追い出すように、せんぱいの背中に腕を回す。


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