ロマンスに心酔



「電気消していい?」


「はい」


真っ暗になると何も見えなくなる代わりに、せんぱいの気配がより濃くなる。


「⋯⋯なんで仰向けなの」


「な、なんとなく⋯⋯」


「こっちみてよ」


横からの熱い視線を感じる。

顔だけ横に向けると、暗闇に慣れた目がせんぱいの姿を捉え、至近距離で目が合った。


「(ち、近い⋯⋯!)」


反射的に顔を元に戻す。


「なんで逸らすの」


「⋯⋯っ」


「さーな」


⋯⋯甘い。甘すぎる。

まんまと誘われて、今度は身体ごとせんぱいの方に向ける。


「頭上げて」


せんぱいの腕が通り、腕枕をしてくれる。

さらに距離が近づいて思わず俯くと、せんぱいの胸に抱き寄せられた。


「⋯⋯さな、どきどきしてる」


「あたりまえです⋯⋯!」


「ん、おれも、めっちゃ心臓鳴ってる」


⋯⋯ほんとだ。

耳元でせんぱいのはやい鼓動が聞こえる。


「(おそろい⋯⋯)」


せんぱいもどきどきしてるんだ、と思うと、少し落ち着いた。


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