ロマンスに心酔
「それを思い出して、ああ、前ちゃんって青葉さんのことすきだったんだ、ぜんぜん意外じゃないなって思ったんだよね」
「えっ、それは、ないです⋯⋯!」
「そうなの?でも、だから前ちゃんの浮いた話ひとつもなかったんだってすごい納得したんだよ」
河野さんのお話は、信じられないことばかりだ。
だって、ずっとすきでいてくれてたのだとしたら、これまでの関わりがあまりにも少なすぎる。
し、せんぱいのようなひとが、わたしなんかを一途にすきでいる理由がない。
反射的に、頬が真っ赤に染まっているのがわかる。
それを見た河野さんがにっこりと微笑んで、言葉を足した。
「その感じだと、青葉さんは前ちゃんのことすきなんだよね?」
「う⋯⋯は、はい」
「うん、自信もっていいと思うよ。私たち同期はまったく相手にされてないし、嘘なのに付き合ってることを会社で言ったのも、牽制含んでるんじゃないかなって私は思うな」
「⋯⋯っ」
「まあ、真実は前ちゃんにしかわからないから、何とも言えないけど。頑張れ」
「あ、ありがとう、ございます⋯⋯」
河野さんのやさしさと予想外のときめきで、もうお腹いっぱいだ。
残っている親子丼を無理やりかき込んだ。