ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「超ホワイト企業だ~」
「この仕事は、短距離走のスピードでフルマラソンを走るようなものだから。適度に休まないと、息切れしてしまうもの。プロジェクトに関わっている間は、プライベートもままならないしね」
「休み明けは、また忙しくなりそうなんですか?」
「そうねぇ……プロジェクトにもよるけど。きっと忙しいでしょうね」
「嬉しそうな顔をして言うのが、僕には信じられませんね」

 ふーふーとおしるこに息を吹きかけながら、ガクくんが笑う。
 仕事は忙しければ忙しいほど、やる気が出てくる。生きていると実感できるから。

 だけど、こうしてのんびり過ごすのも嫌いじゃない。これが続くのは耐えられないけれど、ほっとひと息つける場所と時間があることは大切だし。

 一生懸命に仕事をして、疲れきって帰ってきたら、ガクくんに癒される。こんな生活がこの先も続くような気さえしているけれど、それは願ってはいけないこと。

 ガクくんと私は恋人ではないし、彼はいつか、自分の力だけで歩き出す。いまはその下地づくりの時期だから。

 それでも、しばらくはガクくんとの生活を楽しみたい。彼のおかげで、毎日が明るいんだもの。

 一緒に生活するのであれば、こんなふうに気を遣わず、お互い思い合える関係が理想よね。恋のときめきより、安らぎのほうが必要なんだと思った。
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