ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「どうかしたんですか?」

 ついつい、ガクくんの顔をじっと見つめてしまった。美味しそうにおしるこを食べるのが、あまりにかわいくて。

「ガクくんって、食べるのが好きなんだなぁと思って」
「大好きですよ。美味しいものを食べると、幸せな気分になるじゃないですか。最近は彩女さんと一緒に食べられるから、もっと幸せです」

 そんなことを言われると、もうひとりの食卓には戻れなくなってしまいそう。
 あ、だめだめ。ほかのことを考えなくちゃ。寂しくなるから。
 
「そういえば、明日のお昼は出かけるんでしたよね」

 よかった。ガクくんが話題を変えてくれた。

「うん。12時過ぎくらいに出る予定」

 実は昨日、井上さんから連絡がきた。大切な話だし、電話で話すより直接がいいと思ったから、ランチを一緒に食べる約束をしている。

 彼と話して結論が出たようだけど、どんな答えでも、しっかり聞いてあげなくちゃ。

「帰りは、何時くらいになりそうですか?」
「彼女は仕事があるし、そんなに長くはならないけど」
「じゃあ、夕方からデートしましょうよ。どこかで待ち合わせをして」
「行きたいところでもあるの?」
「ないですよ。ただ、彩女さんとデートしたいだけです」

 だから、そういうのは恋人同士ですることでしょう。なんて思いながらも、やっぱり嬉しかった。
< 111 / 278 >

この作品をシェア

pagetop