ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「最初から彼と話し合っていれば、上條さんにご迷惑をおかけすることもなかったんですけど。本当に、すみません」
「いいのよ。相当悩んだんでしょう? これからも、なんでも気軽に相談して。仕事以外の悩みで、私が役に立つかは分からないけれど……」
「ありがとうございます、心強いです」

 恋愛関係は、まったく自信がない。これまで付き合ってきた人とは、ほとんど私が原因で別れてきたし。

 それなのになぜか、よく恋愛相談を受ける。他人のことなら客観的視点に立てるから、我ながら的確なアドバイスができるのよね。……自分のことになると、ポンコツなんだけど。

「彼とは別れましたけど、結婚は諦めていません。もちろん仕事も、縁があれば子育ても。やれることは、全部やりたいんです。強欲ですよね」

 なんの迷いもなくそう言える井上さんは、強い(ひと)だと思った。
 女らしくなれないから。キャリアを中断したくないから。そんな理由をつけて、結婚を遠ざけている私とは大違いね。

「人生をフルで楽しもうとしているんでしょう? 強欲なんかじゃないわ」
「さすが、上條さん。なんでもポジティブな言い方をしてくれますよね。私、上條さんみたいになりたいって、ずっと思っているんです」
「私、そんなに大層な人間じゃないけど」

 そう言いつつ、こうして慕ってもらえるのは、素直に嬉しい。自分が頑張ってきた成果だと思うから。
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