ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 彼が自分のものを買うことは、ほとんどない。最初は遠慮しているだけかと思っていたけれど、本人いわく「ゆるミニマリスト」らしくて、もともとそんなに物欲がないと言っていた。

 洋服も最低限なのに上手に着回しているし、私みたいに無駄なものを買うこともない。

 つくづく自分と正反対で、バランスが取れているとは思う。だけど恋人としてお似合いかどうかは、きっと別問題なのよね。

 ……だんだんネガティブになってきてしまった。せっかく美味しいお弁当を食べているのに。ダメダメ、余計なこと考えずに、しっかり味わおう。

 どのくらい時間をかけて作ってくれたのかな。いつも朝食と同時進行でお弁当を作ってくれているけれど、今日はいろいろと下ごしらえをしていたから、結構手間がかかっているはず。

 美味しいものは、これまでたくさん食べてきた。それなりに高級なお店にもいくつか行ったし、ミシュランガイドに載っている名店の味も少しは知っている。だけどここまで温かくて、毎日食べたいと感じた料理は初めてだった。

「ごちそうさまでした」

 ひと口ひと口、大切に食べたあと、心からの感謝を込めて手を合わせる。
 そしてお弁当箱を片付けようとしたところで、ランチバッグになにかが入っているのに気がついた。
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