ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 お弁当箱を出したときには気づかなった、小花柄のラッピングペーパーに包まれたもの。クリーム色の付箋が貼ってあって「残業のお供にどうぞ」と書かれている。

 包みを開けてみると、食べやすいサイズに切り分けられた羊羹が入っていた。

 残業時間まで我慢できずに、ひと口だけ食べてみる。ほどよい甘さが口いっぱいに広がって、いくらでも食べられそうだと思った。

 お弁当だけじゃなくて、こんなものまで作ってくれるなんて……あ、まずい。泣きそうになってきた。

 私と違って手先が器用で、洗濯物の畳み方が綺麗。掃除の仕方もとても丁寧だし、作ってくれる料理はどれも絶品。

 毒舌なのに優しくて、子どものようにコロコロと表情が変わる。しっかりしているのに甘えん坊だし、あけっぴろげかと思いきや少し秘密主義。

 そんなガクくんと、一緒にいたい。飼い主とペットなんかじゃなく、パートナーとして、ずっとずっとそばにいたい。
 もう、はっきりと自覚してしまった。自分が彼に求めていることを。

 だけどこの気持ちを伝えたら、ガクくんとの関係が終わってしまうかもしれない。
 それが怖くて踏み出せないなんて、いい歳をした大人が情けないとは思う。なんだか、いつも思考が堂々巡りしているし。
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