ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 平日のこの時間だし、道が混んでいるとは思えない。もしかして、あの声の女性と……いやいや、まさかそんなことはないわよね。

 だけど、あまりに遅すぎる。もう1時間よ。車内でいい雰囲気になって……とか? お酒が入っているなら、ありえなくはない。

 連絡もないし、昼に生理がきたせいなのか、やたらとネガティブなことばかり頭に浮かんでしまう。

 もしこのまま、ガクくんが帰ってこなかったら。私のポンコツっぷりに嫌気がさして、もう同居を解消するなんて言われたら、どうしよう。
 ガクくんに限って、そんなことはない。そう思いたいのに、自信が持てない。

 お願い、早く帰ってきて。「おかえりなさい」と言わせて。
 なぜか涙がこみ上げてくる。どうしても落ち着かなくて、半ベソ状態で玄関付近を行ったり来たりしてしまう。ああ、なんて情けないの。

 誰にも頼らず、依存せずに生きていこうと思っていたけれど、その考えがどれだけ傲慢だったのか、ガクくんと出会って気がついた。

 自分ひとりではなにもできないということは、仕事で嫌というほど身に染みていたはずなのに。結婚したくないからって、意地になっていたのかもしれない。

 結婚するとかしないとか、そういうことはどうでもいい。ただただ、ガクくんと一緒にいたいだけなの。
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