ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 それなのに、どうして帰ってきてくれないの?
 
 もしかして、事故とか事件に巻き込まれたんじゃ……最近、いろいろと物騒だし。
 ほかの女性となにかあることよりも、そっちのほうが嫌だわ。もうなんでもいいから、とにかく無事に帰ってきてほしい。

 スマホを握りしめて玄関に座り込んでいたら、ふいにドアが開いた。

「ただいまぁ。すみません、遅くなって……って、彩女さん、どうしたんですか!」

 ガクくんは慌てて靴を脱いで、隣にしゃがみ込んだ。ああ、帰ってきてくれた。

「お、おか、おかえり……遅い~!」
「あーごめんなさい、ごめんなさい。そんなに泣かないでくださいよぉ」

 私を抱きしめて、子どもを宥めるように頭を撫でてくれる。
 余計に涙が出てきたのは、安心したからというだけじゃない。ガクくんへの気持ちが、一気にこみ上げてきたせい。

 やっぱり、大好き。決して大きくはない背中だけど、私を包み込むには十分だし、優しくて温かい。

「あまりに時間がかかっているから、もしかしてなにかあったのかなとか……いろいろ考えちゃって、心配したんだから」
「タクシーの運転手さんが道を間違えて、ものすごく遠回りしちゃったんですよ。途中で、彩女さんにLINEしましたけど」
「きてない……」
「えー? ちゃんと送ったのに……あ!」

 ポケットからスマホを取り出して画面を確認すると、ガクくんはばつが悪そうに頬を掻いた。
< 153 / 278 >

この作品をシェア

pagetop