ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「本当にごめんなさい。でもね、もういろいろ考えるのはやめたの。先のこととか、考えても仕方のないことは考えない。あなたと一緒にいたいっていう気持ちだけを、大事にする」

 これまで自分がどんなことで後悔してきたのか考えたら、答えは簡単に出た。

 私が一番後悔するのは、失敗を恐れてチャレンジしなかったとき。失敗は成功の母なんだから、たとえそのときは落ち込んだとしても、必ず自分の糧になるはず。

 こういう展開は想定外だったけれど、ちゃんと気持ちを伝えられてよかった。

「彩女さんって、かっこいいですよねぇ」

 ガクくんが私の背中に手を回した。やっぱり彼の体温はしっくりくる。最初から、それは分かっていた。

「うだうだ悩んだとしても、こうと決めたら真っすぐですもん。後ろを振り返らないところが、めちゃくちゃ大好きです」

 気持ちが通じ合うのって、こんなに幸せなことなんだ。これまで、こんな感覚を経験したことあったっけ。
 やわらかい唇が触れる。いままでで一番、優しいキスだった。

「恋人として初めてのキス、ですね」
「……うん」
「今日のキスを忘れてしまうくらい、これからたくさんたくさんしましょうね」

 頷いたけれど、きっとこの日のキスを忘れることはないんじゃないかな。

 いろいろと順序はバラバラだったけれど、そんなことはどうでもいい。いまはただ、この幸せな気分に浸っていたいと思った。
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