ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 それから、毎日ではないものの、ガクくんはたびたびお弁当を配達してくれるようになった。
 会社のビル前まで来てくれるから何人かの同僚に目撃されていたらしく、凛子から「軽く噂になっているよ」とからかわれた。

 でも、まったく気にならない。ちゃんと関係を説明できるし、誰に紹介しても恥ずかしくない、自慢の恋人だから。

「僕は最初から思っていましたよ。彩女さんとガクは、相性がよさそうだなって」

 プロジェクトが一段落した日の夜。同僚と食事をしたあと、帰りがけにMISTEROへ寄ると、マスターにそう言われた。

 どうやらガクくんが、私と付き合いはじめたことを報告したみたい。もちろん私からも、ちゃんと話すつもりだったけれど。

「それにしても、2か月も認識がすれ違っていたとは。ガクは、ひとりで浮かれていたわけですね」

 マスターがくすくす笑う。その表情は、やっぱりガクくんとよく似ていた。

「お恥ずかしいです……」
「よかったですよ、落ち着くところに落ち着いたようで。彩女さんがお相手なら、安心です」

 子どものころからガクくんを見てきたマスターにそう言ってもらえると、とても嬉しい。
 最初は自分に自信がなかったけれど、ガクくんの献身ぶりが義務ではなく愛情からくるものだと分かって、少し胸を張れるようになったし。我ながら単純。
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