ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「実の両親が離婚したのは、小3のときです」

 ガクくんは、抑揚のない声で自分の身の上を明かしていった。

 両親が離婚したあとは父親に引き取られたこと。それ以来、実の母親とは会っていないこと。中2の春に、父親が職場の女性と再婚したこと。そして、その女性との間に双子の男女が産まれたこと。

 その語り口があまりに無感情で、逆に悲しくなってきた。

継母(ままはは)は優しい人で、僕のこともすごくかわいがってくれていました。だけど子どもが産まれてからは、全然余裕がなくなっちゃって。まぁ、当然ですよね。初産で双子の育児をするわけですから」
 
 子どもを産んだことがない私にとって、育児の苦労は想像を絶する。ましてや双子だなんて……一体、どれだけ大変なのかしら。

「げっそりしてボロボロの母が夕飯の支度をしている間、泣けばすぐに構ってもらえる弟と妹の横で、僕は受験勉強をしていました」

 そこまで言うと、ガクくんはハイビスカスティーを口にした。そしてまた、その酸味にギュッと目をつむる。

「ちょうど、高校受験と重なっていたのね」
「はい。父親はいつも帰りが遅いし、ワンオペになるのは可哀想だから、僕も家事をいろいろやっていたんですけど……」

 きっと、ご両親が離婚してからずっと、家事を担ってきたのね。その健気さに、胸が切なくなる。
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