ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 キッチンでお湯を沸かして、ガクくんご所望のハイビスカスをティーポットに入れる。酸味が強いハーブティーだから、気持ちが引き締まるのよね。

「はい、お待たせ」
「わーい、ありがとうございます」

 改めてガクくんの隣に座って、蒸らしたハイビスカスティーをカップへ注いだ。そしてふたりで一緒に、ひと口いただく。少し抽出時間を長くしたから、濃い酸味が脳を突き抜けるような感覚が広がった。
 
「んー、すっぱ! おいしい!」
「よかった。体調は、かなり回復したみたいね」
「はい、鍋焼きうどんでパワーチャージしましたしね。というわけで、気を取り直してちゃんと話します」

 ティーカップをテーブルに置いて、ガクくんが深く息をついた。

「えーと……彩女さんに倣って結論から言うと、追い出されたのも本当ですが、確かに僕も家を出たいと思っていました。なんとなく、居場所がないように感じていたから」

 淡々としているのに、どこか寂しそうな表情。思わず抱きしめたくなったけれど、なんとか堪えた。

「実家では、両親と、双子の弟、妹と一緒に暮らしていたんです」
「ガクくん、きょうだいがいたのね」
「はい、腹違いってやつですけど。父と、再婚相手との間に産まれた子どもなので」

 なんとなく話が見えてきたけれど、私は黙って次の言葉を待った。
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