ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「弟と妹が1歳になったころから、母も睡眠時間が確保できるようになってきたんですけど。その代わり、僕は部屋に引きこもることが増えました」

 ガクくんは優しいし他人の気持ちにも敏感だから、そのぶん自分の感情を押し殺してしまったのかもしれない。

 家に居場所がないと非行に走る子もいるだろうけれど、そうならなかったのは、やっぱり家族を大切に想う気持ちが強いからなんじゃないかな。

「部屋でたくさん本を読んでいるうちに、自分でも書いてみたくなって、小説を書きはじめたんです。すごいんですよ。投稿サイトで小説を更新すると、たくさんの人が褒めてくれるんです。それが嬉しくて楽しくて、小説を書くことにのめり込みました」

 沈んでいた表情が、キラキラ輝く。
 そっか。小説は、ガクくんにとって心を癒す手段。きっと自分を保つために書き続けているのね。

「そこが、ガクくんの居場所だったんだ」
「そうですね。もともと読み書きは好きだったから、暇さえあれば小説を書いていました。大学で人間科学を専攻したのも、小説の執筆に役立てたかったからなんです」

 そういえば、初めて会ったときに聞いたっけ。人間科学を専攻して、哲学や心理学も学んでいたこと。それらすべてが、ガクくんの小説に活かされているんだ。
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