ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「誰よりも頑張り屋で、逆境に負けない根性がある。そんな彩女に、家庭に収まれなんて言えるわけがないだろう。その能力をたくさんの人の役に立ててほしいと、お父さんは思っているよ」
「結局ねぇ。お父さんも私も、あなたが幸せならいいのよ」

 何度も頷きながら、母が言葉を続ける。私はこみ上げるものを抑えながら、コーヒーをひと口飲んだ。

「私は結婚して家庭を築けて幸せだと思ったから、あなたにもそういう幸せが訪れたらいいなって。それだけだったのよ」

 そうだ。そうだった。母はいつも言っていた。家族みんなが笑っているのが、一番幸せだと。

 だから「私もお母さんみたいになりたい」って思ったのに。勉強や仕事が楽しくて、いつの間にかその気持ちがなくなっていった。

「だけど彩女が望んでいないのなら、自分が幸せになれると思う道を進めばいいと思うの。もちろん親だから心配はするけど、それ以上に応援しているんだからね」

 私は、なんて幼稚だったんだろう。
 親の想いを勝手な期待だと受け取って。憧れていたはずなのに、こうはなるまいと反発していた、ただの子どもだった。

 どれだけ仕事で成果を上げたって、こんなことが分からないようじゃ、夢を叶えられるわけがない。
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