ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 だけど、まだやり直せるうちに気がつけてよかった。手遅れなんかじゃない。これからまた、家族の絆を築いていけるはず。

「お父さん、お母さん。ありがとうございます」

 これまでの懺悔と感謝を込めて、両親に向かって深々と頭を下げた。
 いまでも仕送りはしているけれど、こんなんじゃ足りない。もっともっと頑張って、たくさん恩返しをしなくちゃ。

 顔を上げると、ふたりとも優しく微笑んでいた。ようやく両親と通じ合えた気がして、胸が温かくなる。30年間生きてきて、初めての感覚だった。

「でも……結婚するしないに関係なく、彩女を理解して支えてくれる人がそばにいてくれたら安心だとは思うけどねぇ」

 コーヒーを飲みながら、母が言った。
 そうだ。ガクくんのことは、一応話しておかなくちゃ。一緒に住んでいるわけだし。

「それは……ちゃんと、います」
「あら、そうなの?」
「うん、一緒に住んでいるの。彼が家事を担ってくれていて、おかげで食事も含めて生活の質が上がったというか」
「えっ、同棲しているの? なによぉ、そういうことは早く言いなさい。ねぇ、お父さん?」
「……ちゃんとした相手なのか」

 嬉しそうな母と、心なしか厳しい表情の父。うん、とても分かりやすいわ。
 父が言う「ちゃんとした相手」って、きっと安定した職に就いている誠実な人ってことよね。
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