ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 ガクくんは、小説家兼……フリーター? ってことになるのかしら。どうしようかな。そのまま言ったら、また心配をかけてしまうかもしれない。
 だけど変に取り繕って、あとで面倒になるもの嫌だし。やっぱり正直に話そう。

「えっと……彼は、定職には就いていないんだけど」

 父の眉が、ピクリと動く。
 ……大丈夫。マイナスなことは先に伝えて、それからきちんとガクくんの魅力を伝えれば、ゲイン・ロス効果で、より印象がよくなるはず。

「家の近くに、行きつけの飲食店があって。そこのマスターの甥っ子さんなの。お店でアルバイトをしながら、小説を書いていて……もう2冊も本を出版しているのよ」
「小説家なの?」

 母が食いついた。父は変わらず、硬い表情だけど。

「うん。だけど専業作家として生活できるほどではないから、アルバイトをしながら執筆しているの。とっても料理上手で、家事も完璧で……私が苦手な部分を、全部カバーしてくれる。それに、いつもニコニコしているし穏やかだから、お店のお客様からも評判がいいのよ。彼が働き始めて、売上がアップしたんだって」

 ここぞとばかりに、ガクくんのよさをアピールする。すべて本当のことだし。ガクくんがよく働いてくれるからと、マスターが喜んでいたもの。
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