ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「あ、カプセル式のコーヒーメーカーだ。いい香り」

 くんくんと鼻を動かす姿は、やっぱり犬みたい。ゴールデンレトリバーに似ている気がする。

「はい、どうぞ」
「わーい、いただきます」

 差し出したカフェオレを嬉しそうな顔で飲むその姿に、とても癒される。
 ガクくんって、人を油断させるというか、簡単に丸裸にしてしまうような感じがするのよね。やっぱり、空気が心地いいな。

 ……そうだ。昨日なにがあったのかは、ちゃんとハッキリさせなくちゃ。

「……ところでガクくん」

 自分のコーヒーを淹れて、彼の向かいに座る。

「あの、昨晩は……その……」
「昨晩? あ、もしかして、記憶がないんですか?」
「……は、恥ずかしながら」

 いい大人が、お酒の勢いで家へ連れ込んだ挙句に記憶をなくすなんて。本当に恥ずかしい。
 ガクくんはカフェオレをひと口飲んだあと、意味深に微笑む。

「僕が飲ませすぎちゃいましたしね」
「そ、そんなことは……飲んだのは、私なんだし」
「でも彩女さん、めちゃくちゃかわいかったですよ」

 カッと頬が熱くなる。さっきからかわいい、かわいいって……言われるたびに、年甲斐もなくドキドキしてしまう。

「安心してください。最後まではしていませんよ。彩女さんは途中で寝ちゃったし、ゴムも持っていなかったので」
「あ、そ、そうなの……」
「それに童貞の僕に、酔った女性を強引に抱く度胸なんてありませんから」
「え? いま、なんて?」

 思わず聞き返す。にわかには信じがたい単語が、出てきた気がするんだけど。
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