ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「なるほどなぁ」
「な、なによ。その顔は」
「彩女がパートナーに求めていたものが分かったなぁって」

 凌也が言うと、今度は凛子が大きく頷く。

「うん、すっごく納得だわ」
「どういう意味?」
「さぁー? 自分で考えてみて」

 ふたりとも、ニヤニヤしている。

 私が求めていたもの? ガクくんをひとめ見ただけで、それが分かったっていうの?

 一体なにかしら。家事の担い手……は、求めていたけれど。たとえ家事ができなくても、ガクくんを好きなことに変わりはないし。

 え、なんだろう? 自分のことだけど、全然分からない。

「僕も、分かる気がしますよ」
「えぇ、マスターまで」
「彩女って、仕事以外のことになると、ほーんと鈍いわよねぇ。特に恋愛関係は」
「どうせ鈍感よ……」
「彩女さんは、そこがかわいいんですよぉー」

 奥のキッチンから出てきたガクくんが、満面の笑みで言った。凛子と凌也のからかうような視線が、私に突き刺さる。もう、恥ずかしい。

「みなさん、なにか食べます? ちゃちゃーっと、おつまみでも作りましょうか?」
「私、スパニッシュオムレツが食べたいな」
「まだ食うのかよ、凛子」
「彩女が絶賛する、ガクくんの手料理を味わってみたいのよ」
「よーし、気合いを入れて作ってきまーす!」

 飛び跳ねるようにして、ガクくんはまたキッチンへと戻っていった。
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