ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 あの凌也が父親だなんて、不思議な感じ。どうやら女の子らしく、いまからあれやこれやと名前を考えているみたい。

「身重の奥様を放置して、こんなところで遊んでいていいのー?」

 凛子がいたずらっぽく笑う。

「今日は自分の実家に泊まるから、ゆっくり羽を伸ばしておいでーって言われてんの。できた妻なんだよ。凛子こそ、彼氏はいいのかよ」
「明日デートでーす」

 凛子はバツイチの彼と順調みたいだし、なんだかんだでみんな幸せそう。
 自分の周りの人たちが幸せだと、私も嬉しい。そう思えるのは、自分が満たされているからなのかな。

「ただいまぁ~」

 テーブル席のカップルが退店したのと入れ替わるように、ガクくんが戻ってきた。

「あ! 彩女さんのお友達ですね! 初めまして、武内雅空です」

 お店の入口で荷物を持ったまま、ガクくんは深々と頭を下げる。

「初めまして、ガクくん。秋山凛子です」
「西川凌也です。よろしくー」
「こちらこそ、よろしくお願いします! 荷物を置いてくるので、ちょーっとお待ちくださいねぇ」

 ……なんだか妙に荷物が多いけれど、そんなにお店の買い出しが多かったのかしら。

 ガクくんがカウンターの奥へ引っ込んでいくと、凌也は妙に納得した表情で頷いて、私の顔を見た。
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