ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「自分の部屋から、少し荷物を持ってきたんですよ。最低限で飛び出してきちゃったから」

 そっか。バックパックひとつだったものね。アウターすら持っていなかったし。

 あのときに比べて彼の荷物が増えたから、いまはベッドルームのウォークインクローゼットを一緒に使っている。
 最初は一時的な同居のつもりだったのに。まさか、ずっと一緒に暮らすことになるとは思わなかったな。

「クローゼット、まだ余裕ありますよね。ひろーいから」
「うん。まだまだ、たくさん入れられるわよ」

 こうなることを予測していたわけではないけれど、収納たっぷりの家を選んでよかった。

「で、これはお母さんから彩女さんに。福岡の有名な洋菓子店のお菓子です」

 ガクくんが綺麗な紙袋を差し出した。これは確か、福岡市にあるダックワーズで有名なお店のものだわ。中には、綺麗にラッピングされた大きな箱が入っている。

「横浜のデパートの催事で買ったらしいです。焼き菓子の詰め合わせ。ちなみに、うちのお母さんは福岡出身なんですよ」

 この大きさだと、1万円は超えていそう。箱を開けさせていただくと、ダックワーズやフィナンシェ、マドレーヌなどがぎっしりと詰まっていた。

「こんなにたくさん……お礼を伝えなくちゃ」
「そう言うと思って、帰ったら電話するって伝えていまーす。いまからかけていいですか?」

 私が頷くと、ガクくんはスマホを取り出した。
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