ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「でもさ、一度好きになった人は、いつまでも特別じゃないの? 男性って、そういうところがあるじゃない」

 恋愛に関して百戦錬磨の凛子が言う。
 彼女は26歳のときに結婚して、1年経たずに離婚した。そして自分が結婚に向いていないことを自覚したあとは、結婚願望のない人とだけ付き合うようにしているらしい。いまの彼氏も、バツイチだったっけ。

「まぁ確かに、思い出は美化しがちだけどさ。でもいまは、かわいい妻に夢中なんでね」
「彩女の前でそれだけ惚気られるなら、問題ないわね」

 凌也の奥様は、取引先企業に勤めている女性。彼が訪問したとき、いつも明るい対応をしてくれたのが印象に残っていて、凌也が軽いノリで食事に誘ったのが始まりだったみたい。

 相手も凌也に好意を持っていたらしく、そこからはとんとん拍子に話が進んで、交際から1年半で結婚した。
 
「意外と早く身を固めたわよね、凌也は。結婚には興味がなさそうだったのに」
「結婚に興味がないのは、お前のほうだろ? 彩女は、昔から結婚願望がないって言っていたじゃんか」
「そうね。もしかしたら、そのうち考えが変わるかも……なんて思っていたけど。結局、結婚したいとは思わないままだわ」

 子どものころは、結婚するのが当たり前だと思っていた。お嫁さんになるのが夢だなんて、かわいらしいことを言っていた時期もあったっけ。
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