ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 ただ私の両親は、どちらかというと保守的な価値観を持っている。結婚後の共働きを否定しているわけではないけれど、女性は仕事で成果を上げるより、家庭の中で夫を支えるほうがいいという考え。

 そんなふたりに自分の目標や結婚観を離せないまま、30代に突入してしまった。

「はぁ~……この歳で恋人をつくると、イコール結婚みたいになるのが面倒だわ……」

 思わず盛大なため息をついてしまって、凛子と凌也に苦笑される。

「めちゃくちゃ憂鬱そうじゃんかよ。親になにか言われたのか?」
「ううん。前までは、帰るたびに結婚について訊かれていたけど。マンションを買ってからは、結婚のケの字も出なくなったわ。逆に不気味な感じ」
「まぁ、気にしなくていいんじゃない? 親が子どもを心配するのは当たり前のことだし、彩女が幸せなら、ご両親も見守ってくれると思うよ」

 凛子の言葉にあいまいな笑みを返して、グラスのビールを飲み干す。

 一昨年に兄が結婚してからは、「次は彩女ね」という空気が漂っているように感じるのよね。自意識過剰かな。

 きっと私も両親も、いまは言いたいことを吞み込んでいるだけ。ちゃんと向き合えていないから、いつまでもモヤモヤしたものが胸に残っている。
 いつかちゃんと……というのを、どんどん先延ばしにしてきた自分のせいなんだけど。
< 62 / 278 >

この作品をシェア

pagetop