ワケありニートな年下ワンコを飼いました
「うわぁ、すごいなぁ!」

 ガーデンへ行くと、幻想的な雪景色を思わせるイルミネーションが広がっていた。ゴールドとホワイトの光で包まれていて、とても綺麗。

 ガクくんは子どものように目を輝かせて、周りを見渡している。楽しみにしていたんだもんね。よかった、嬉しそうで。

「ファンタジーの世界みたいですね」
「そうね。すごく綺麗で、幻想的」
「彩女さんと一緒に見られて、嬉しいです」

 私が遅刻してきたことなんて、なかったかのような態度。連絡なしでこれだけ待たされたら、普通は少しくらい不快に思うわよね。

 気を遣ってくれている? それとも、本当に気にしていないの?
 ガクくんはいつも、本心を語っていないような気もする。だけど、ふとしたときに本音が見えるときもあるし。彼が考えていることは、よく分からない。

「……ガクくんは、怒らないのね」

 思わずそう言うと、ガクくんはキョトンとした顔で私を見た。
 
「なにがですか?」
「私は仕事ばかり優先させて、デートの時間も忘れてしまうのに……」
「平日に行こうって言ったのは僕なんだし、それくらい想定していますよ。なにかトラブルがあったのなら、心配ですけど」
「トラブルというか……今日は、部下の相談に乗っていたの」

 井上さんのことを、かいつまんで話す。
 するとガクくんは、握った手に力を込めて、またイルミネーションに視線を向けた。
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