ワケありニートな年下ワンコを飼いました
 言われた通り、すぐ近くの化粧室へ入って、髪やメイクを整えた。

 実は、デート用のアクセサリーを持ってきていた。小ぶりではあるけれど、仕事で身につけるには少し華やかな、ダイヤのピアスとネックレス。
 ジュエリーを身につけると、なんだか今日が特別な日のような感じがしてくるから不思議よね。

 ピアスを付け替えて、マフラーを外した首元にネックレスを飾ったら、少しはデートモードっぽくなったかな。

「ガクくん、お待たせ」

 化粧室を出て声をかけると、ガクくんは私を見て思いきり目を見開いた。

「わぁ、めちゃくちゃ綺麗!」
「こ、声が大きい!」
「だって彩女さん、綺麗なんですもん。そのピアスもネックレスも、とっても似合っていますよ」
 
 近くに座っていた少し年配のご夫婦が、ニコニコしながらこちらを見ている。あぁ、恥ずかしい……だけど、褒めてもらえたのは嬉しい。
 
「レストランの予約まであとちょっとあるので、先に少しだけイルミネーションを見ましょうか」

 そう言って、ガクくんは私の手を取った。
 ……これって、いわゆる「恋人つなぎ」じゃないの? 恋人以外でも、こういうつなぎ方ってするもの? でも、付き合っていないのに同居してセックスしている時点で、普通じゃないか。

 ガクくんの手は、少しひんやりとしている。そういえば、手袋は持っていなかったっけ。あ、マフラーもだわ。これからどんどん寒くなるから、必要よね。
< 93 / 278 >

この作品をシェア

pagetop