nonsense magic
ひとを見た目で判断してはいけません……って言うけど、そのなかでも例外もあると思う。
ぐ、と腕に力を入れて抵抗の意思を表しても、人目の届かない路地裏の方へと誘導されてしまう。
「ほ、ほんとにむりで、……す。わたし帰りま「───まあまあオネーさん落ち着いて。……オレさあ、ちょっと気持ち悪くて。オネーさんがアソコで介抱としてくれたらなあ、なんて」
距離を詰めてきた男のひとが耳元で囁くから、おもわずぎゅっと目を瞑る。きもちわるい、それ以外の感情が消えていく。
……これ、は、本格的にまずい。
"繁華街"と呼ばれるここでは、こういうことが当たり前に起こりうるなんて、少し考えればわかるはずなのに。
ほぼ無計画で外に出て、ふらふらとこんな場所に来てしまったわたしは、あまりにも間抜けすぎる。
昼間は学生がほとんどを占めているけど、夜になったらハナシは違う。
奥に行けば行くほど、チカチカと目に止まる華やかなライトは強くなって、妖しげな雰囲気にイヤでも引き込まれてしまう。
このひとの言うアソコ、が、なにを指しているのか。
……そこに連れていかれたら、ほんとうに終わりだということも、わかる。