nonsense magic



なんて答えたらいいんだろう、と迷うような表情でそなひとを見上げていたら、途端に向けられる温度が冷えて、伏目がちな瞳が冷めた瞬きを落とす。


「そんな震えて、最後までやられたらどうするつもりだったの」

「さ、いご……、」

「半端な覚悟で手出すと痛い目みるよ。……どーせ誰も助けてくれないんだし」



"どうせ誰も助けてくれない"


このひとの言う通りだ。無力なわたしがこの街でよるに1人で出歩くなら、そこから発生する事態は全て自己責任。誰にも助けを求める権利なんてない。



「、ご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありません」


……でも、このひとだけは、声をかけてくれた、助けてくれた。素通りするのが普通なのに、わざわざ、全くの赤の他人であるわたしを。



「ほんとうに、ありがとう、ございます……」


少しでも感謝の気持ちが伝わるように、深々と頭を下げる。

 

数秒後、はあ、と呆れたようなため息が降ってくるので、巻き込んでしまった罪悪感でいっぱいになる。きゅっと目を瞑りながらもう一度ごめんなさい、と呟くと、突然背後から肩を掴まれた。




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