冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
櫂が考えていた以上に、滝川翠の名前の威力は抜群だったのだ。双方に利益のある、いい破局だったといえるだろう。
今回の個展、連絡をくれたのは彼女のほうで櫂は『行くよ』と即答した。だが、別に互いに再会を懐かしみたいわけではない。
とある目的のために、櫂は彼女に会いに行く。
「このあとは本社に戻る予定でよろしいでしょうか?」
ギャラリーを出て、車に乗り込んだ櫂に運転手がそう声をかける。
「あぁ、帰宅はタクシーでも使うから。本社に着いたら、君はあがってくれ」
今日はずいぶんと働いてもらったので、これ以上は申し訳ないと思った。
「ありがとうございます」
彼は軽く頭をさげてから、静かに車を発進させた。
櫂は背もたれに身体を預け、無意識に口元を緩ませる。翠の話は有益なもので、わざわざ時間を作った甲斐のあるものだった。
(このあとは、あっちの案件を片づけて……いやその前にリベタスチームの様子を見に行くか)
頭のなかでこれからの予定を整理する。そのとき、胸ポケットに入れていた社用スマホが振動して着信を知らせた。
「あぁ、大川か」
電話をかけてきたのは秘書だった。用件は次の役員人事について。
「なに……どういうことだ?」
彼の話に、櫂の表情は険しくなる。
「今から社に戻るから。詳しい説明を頼む」
たった今、組み立てたプランがすべて白紙に戻ってしまった。今日、リベタスチームに顔を出すのは難しくなりそうだ。
自身の執務室に戻った櫂は大川と人事部長から、詳細についての説明を受ける。小一時間ほど話したあとで、ふたりを帰らせた。
「――はぁ」
今回の個展、連絡をくれたのは彼女のほうで櫂は『行くよ』と即答した。だが、別に互いに再会を懐かしみたいわけではない。
とある目的のために、櫂は彼女に会いに行く。
「このあとは本社に戻る予定でよろしいでしょうか?」
ギャラリーを出て、車に乗り込んだ櫂に運転手がそう声をかける。
「あぁ、帰宅はタクシーでも使うから。本社に着いたら、君はあがってくれ」
今日はずいぶんと働いてもらったので、これ以上は申し訳ないと思った。
「ありがとうございます」
彼は軽く頭をさげてから、静かに車を発進させた。
櫂は背もたれに身体を預け、無意識に口元を緩ませる。翠の話は有益なもので、わざわざ時間を作った甲斐のあるものだった。
(このあとは、あっちの案件を片づけて……いやその前にリベタスチームの様子を見に行くか)
頭のなかでこれからの予定を整理する。そのとき、胸ポケットに入れていた社用スマホが振動して着信を知らせた。
「あぁ、大川か」
電話をかけてきたのは秘書だった。用件は次の役員人事について。
「なに……どういうことだ?」
彼の話に、櫂の表情は険しくなる。
「今から社に戻るから。詳しい説明を頼む」
たった今、組み立てたプランがすべて白紙に戻ってしまった。今日、リベタスチームに顔を出すのは難しくなりそうだ。
自身の執務室に戻った櫂は大川と人事部長から、詳細についての説明を受ける。小一時間ほど話したあとで、ふたりを帰らせた。
「――はぁ」