冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
 ネガティブな想像ばかりが次々と浮かんでしまって、決定的な言葉を聞くのが怖くて……咲穂もCMのトラブルで忙しいからと自分に言い訳し、彼と向き合うのを避けた。

 そんな状況のなかでの、今回の週刊誌の記事だった。

 咲穂も読ませてもらったが、『話題作りのための偽装結婚』『実態のない夫婦生活』と今の咲穂には痛すぎるワードばかりが並べられていた。

 記事にあるような事実はない。櫂はそう言ったらしいが、彼の立場ならそう言うしかなかったことは想像がつく。

(実際は……あの記事、かなり正確なのよね)

 表現に悪意があるとはいえ、事実関係はかなり正しくまとまっている印象だった。咲穂と櫂……そしてすべてを打ち明けた悠哉しか知りえないはずの経緯が記載されている。

(七森さんは櫂さんの親友で、週刊誌に情報を渡したりするはずない)

 となると……。

『物音が聞こえた気がしたんだけど……気のせいかな』

 あの日、悠哉は物音を聞いたと言っていた。かなり遅い時間だったし、もう誰も残っていないだろうと咲穂は判断してしまったのだが、もしかしたらあの場に人がいたのかもしれない。もっとよく確認していれば、週刊誌に暴露されるなんて状況は防げたかもしれないのに。

(私のせいだ。櫂さんにも、チームのみんなにも迷惑をかけて……本当にどうしようもない)

 落ち込んでいる暇があるなら、できる仕事を少しでも。そう思うのに、PCを操作する咲穂の手は止まりがちだった。
 昼の三時過ぎ。パーティーは夕方六時スタートだから、みんなはもう会場に移動している頃だろうか。
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