冷徹無慈悲なCEOは新妻にご執心~この度、夫婦になりました。ただし、お仕事として!~
(例の記事のせいで、大事なパーティーが台無しになることがありませんように。どうか成功しますように)

 そう祈ったところで、またスマホが鳴った。先ほどと同じく理沙子かと思ったが違った。

「七森さん?」

 社用スマホの番号は彼にも伝えてあったのでかかってきても不思議はないのだが、少し驚いた。

『リベタスチームのみんなから咲穂ちゃんが困ったことになっていると聞いて、それで……』

 きっと心配してくれたのだろう。咲穂は自身の声が暗くなりすぎないよう、慎重に声を出す。

「私は大丈夫です。それより、七森さんも尽力してくださったリベタスの発売前に、こんなふうにご迷惑をおかけしてしまって申し訳ないです。ごめんなさい」

 スマホの向こうから、どこか寂しげな苦笑が聞こえてくる。

『そんなビジネスライクに謝らないでよ。愚痴や泣き言を聞くくらいなら、役に立てるかな? そう思って電話したんだから』

 彼の優しさに、目頭が少し熱くなる。

「……ありがとうございます。白状すると、ちょっとへこんでいました」
『だよね』

 悠哉の柔らかな声は耳に心地よい。

『本当は会いに行きたかったんだけど。今の状況で、僕がウロチョロしたら咲穂ちゃんにも櫂にも迷惑がかかると思って自重した』

 このマンションはセキュリティが強固なのでマスコミが突撃してくるような事態にはなっていないが、悠哉の言うとおり、今はうかつな行動は絶対にできない。

(これ以上、櫂さんやリベタスのみんなに迷惑をかけるわけにはいかないもの)
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