第一幕、御三家の桜姫



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「これ、どういうこと?」


 松隆くんは文化祭委員長から受け取った私達のデータをスマホ画面に映して、(とが)めるように目の前に突き付けた。

 文化祭一日目終了後、ただいまリーダーの冷ややかな目と声にお叱りを受けている。その証拠に、ソファがあるのになぜか私と桐椰くんは床に正座させられている。松隆くんは椅子に座って腕と足を組み、私達を見下ろしている。その様子を、月影くんは興味なさそうに眺めていた。


「一回目はいいんだよ、一回目は。80点はまぁ誤差の範囲。鹿島達も70点だからかなりいいほうだ。ただこの二回目以降の最悪の結果は何だ?」


 その綺麗な顔が台無しになるほど、その性格の悪さを包み隠さず目力にて発露させまくる松隆くんに、思わず背筋が震えてしまった。誰かを怖がるなんて滅多にないけれど、松隆くんは──怖い。


「別に……」

「共同料理はまぁまだ許す。桜坂は料理苦手だって言ってたし、ろくに練習をしてなかった点に責任はあるとはいえ、まぁ料理部のカップルに次いで二位は健闘したほうだ。が」


 もし目の前にサンドバッグがあれば今すぐ殴りたいと主張しているかのような、その拳。そして突き付けられるのは、三回目に向かった競技の広告。ラブラブバルーンゲーム。それほど数も多くない風船の中から、ハートマークの描かれた一個の当たり風船を選び出し割る。時間制限は百二十秒、当たりを見つけた時点での残り秒数が得点になる。参加者を見ている限り、その得点は大体40から60点で推移していた。つまり難易度は低そうだった、が。


「このクソみたいなサービスゲームでゲームオーバー・ゼロ点を叩きだすとは何事だ?」


 確かに酷い結果だ。一番最後に行った競技だったから他のカップルの点数が並んでいたけど、ゲームオーバーになったのは私達だけだった。それもそのはず。私と桐椰くんは、バルーン探しの途中で口喧嘩を始めたからだ。

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