白雪姫は寵愛されている【完】
どう…?
「嫌ですか?」
首を横に振る。
「嫌ではないんですか?」
「は…はい」
昴くんのことが嫌だって思ったこと無い。
最初の頃は怖かった。でも今は違う。
「なら…僕の事どう思ってますか?」
そう言われたら…少し悩んでしまう。
友達…とは言えない存在で。
…なんて言っていいか分からない。
「…とても大切な人です」
多分、これが正解なんだと思う。
「それは本当ですか?」
目を丸くした昴くんが言った。
「はい!それに…」
仁くん、難波先輩、颯太くん、朱雀の皆さんも。
───────と、言おうとした時だった。
視界が狭まった。
…っ、え?
抱き寄せられたのだ。
「ッ…、」
ぐっと体を押すが、動かない。
抜け出そうとしたがまた同じ位置に戻された。
「す、昴くん…!」
名前を呼ぶが、離してくれない。
抵抗はしてみたが何度やっても動かなかった。
…だめ、やっぱり私の力じゃ押し返せない。
身を任せるしかなかった。
「僕は…千雪さんにとって大切な人だったんですね。まだ僕にもチャンスがあるとは思わなかったです…」
耳元で囁かれた。
…チャンス?
「千雪さん、僕はあなたが──…、」
そこまで言いかけた時、ドアが開く音がした。