白雪姫は寵愛されている【完】
三章

集会



───────新着メールはありません。



何度更新しただろう。
メッセージも来ていない。



「携帯ばっか見てると目悪くするぞ!」

「え?あ…ご、ごめんね」



ハートのキーホルダーが揺れる。
仁くんとお揃いのもの。


仁くん宛てのメールは一向に返事がない。


私から送っても反応が無い。
いつもならすぐに返してくれるのに。



「今日も元気ないな、白藤は」

「そ、そんなこと無いよ」

「ん~…そういやぁ、仁さんも元気なかったなぁ」



仁くんも?
やっぱり、私が原因で…。



「…白藤?聞いてたか?」

「え?」



何も聞いてなかった。


「たくっ!聞いとけよぉー!」

「ご…ごめんね!」


颯太くんは頬を膨らましながらもう一度言ってくれた。



「今日は全員で帰るぞ!」

「ぜ…んいん…??」



車の中には、朱雀の幹部全員と、プラス私の合計五人が乗っている。一度倉庫に行き、黒色の漢字が沢山入った特攻服を羽織っていた。何故か私も着ることになり、ダボダボの袖を捲って着ている。


そしてもう一度車に乗り込み、目的地へと向かう。
私は付いて来ただけで、どこに行くかは聞いてない。


斜め前に居る仁くんに目を向ける。
外を見ていて、目が合う気配がない。


代わりに目が合ったのは、昴くんだった。


微笑む昴くんにドキッとして目を逸らす。



…昨日、あんな事言われたのに。



なんで普通に笑えるんだろう。


”好き”だと言われた。
昨日昴くんにそう、言われた。


なんて返していいか分からずにいた私に昴くんは、


「返事は、直ぐにとは言いません。考えておいてくれませんか?」


私は頷く事しかできなかった。



好きって意味が分からないわけじゃない。
勿論それが恋愛対象としての”好き”という意味だって事も。



……だけど分からない。
昴くんの事は好き…なんだと思う。



でも───…



それが何の好きなのかが分からない。
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