白雪姫は寵愛されている【完】
着いたのは、どこかの廃ビルのような場所。
ビルの外には沢山の怖い顔の人がいっぱい居た。
…ここに行くの?
みんなは躊躇なく降りていく。
だけど私は足がすくんで降りれない。
降り…なきゃ。
降りろって言われたから。
みんな待ってる、早く…。
震える足でゆっくりと降りた。
…っ、怖い。
降りて感じたのは、視線だった。外の人達の視線が私に注がれる。態々サングラスを取ってまで見てくる人もいる。
…どうしよう、歩けないかもしれない。
制服のスカートをぎゅっと握った。
「千雪さ「千雪」
名前を呼ばれ、手を掴まれた。
…仁くん。
顔を上げると、仁くんがいた。私の方は見ていなかったけど、背中しか見れないけど。
「俺から離れるな」
「…っ、は、はい」
触れられた手に安心した。
それに…ドキドキしてる。
階段を上る。
真剣な表情だった。
それに不安を感じる。
ここが何処なのかも分からない。
それに…見たことないぐらい真剣。
三階まで上った。
一階から二階までは、沢山のゴミで溢れていたのに、ここだけは違った。そのフロアだけはカーペットが敷かれていたり、高級そうなソファもあった。
そこに私達と同じような特攻服を身に付けた男達がいた。
「仁、遅れてくるなんていい度胸してんな?」
緑色の髪をした男が、仁くんに近づいて来た。怖くて背後に隠れる。
「バイクかっ飛ばしてこいや。何、優雅に車なんて乗ってんだよ?あ゛?」
「黙れ、俺に指図するな」
───────…殺気。
怖いけど…ここで手を離す方がもっと怖い。