白雪姫は寵愛されている【完】


「俺に楯突こうってか?あ?」

「耳元でキーキーうるさいですねぇ…。野生の猿なんですから、森に帰ったらどうです?ああ、言葉伝わってませんか?それは失礼」

「…てめぇ、殺されて―のか!」

「すみません。猿語は無知故、分からないんですよ」

「あ゛!?」

「ウキーウキー…ふふ、」

「表出ろや!!」

「一度も僕に勝てた事無いでしょう。糞猿なんですから。ほら、ウキー?」



ヒッ…!


笑顔だけど目は笑っていない昴くんと顔が真っ赤に染まった青髪の人。取り押さえられているその人に、昴くんの猿語が止まらない。



「お前等辞めろ。今日はただの集会だろ。無駄な喧嘩はすんな」



二人の間に入る、ピンク色の髪をオールバッグにしてる男。


集会…もしかしてこの人達が朱雀と同盟を組んでる人達ってこと?

朱雀、青龍、玄武、白虎っていう族で同盟を組んでるとか聞いたことがある…それぐらいしか知らないけれど。



今出てきた三人のカラフルさん達が、他の族の総長さんなのかな?



私の方をチラリと見るピンクの人。ジロジロと見て来たかと思えば「あー」と口を開ける。



「この女…麒麟の?なんでお前等が持ってんだ?」



麒麟…?


その人の手が伸びる。
私の頭に触れそうになるその瞬間。


仁くんがその人の腕を掴んだ。



「…おい、仁。なんのつもりだ?」



顔を歪ませ、低い声で仁くんを睨み付けている。背中に悪寒が走る。


「……違う」

「違う?…この女、麒麟が探してる女じゃないって事か?」


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