白雪姫は寵愛されている【完】
仁くんは無言で頷いた。
だけど黒くて重たいオーラは消えていない。


「……プッ…アハハ!」


突然の笑い声に私は大きく身体を震わせた。

ピンク髪の人が笑うと同時に周りのカラフル髪の人達も笑い出す。



「おいおい…嘘が下手だなお前。それならなんで連れてきた?

集会は幹部が集まるもんだ。文月も入ってる。それなのになんでこの女を連れて文月が外に行く必要あんだ?それなら置いてくれば済む話だよな?

それでも連れてきたってことは…、


この女が麒麟が血眼になって探してる、あの”白藤千雪”って事だろ?」



ドクン、

私の……名前…?


仁くんの手を振り解いたピンク髪の人が私を指差した。




「お前、麒麟に何をした?」




麒麟…?
私が…?
なに…、


大きく首を振る。


「待ってください!白藤は関係ないっす!別人っすよ!」

「…やっぱり”白藤”だったか」


その言葉に颯太くんは「あ゛ッ!」と言って口を覆った。昴くんと難波先輩は呆れたように大きく溜息を吐いている。



「女だからなぁ~…どうせ麒麟の総長に惚れたかなんかで付きまとったんだろ?あそこの総長は仁に負けず劣らずイケメンだもんなぁ。

まぁ…その見た目じゃ相手にすらしてもらえなかったんだろうけどな」



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