白雪姫は寵愛されている【完】
何を言っているの…?
全く分からない事ばかりで頭が追い付かずにいた。
麒麟が私を探してる、その理由も全く見当がつかない。
「おい、女。朱雀が麒麟と冷戦状態だって分かってんのか?」
…っ、冷戦?
バラバラになっただけじゃなかったの?
「お前が余計な事したせいで、それが崩れそうになってる」
わ…たし…のせい…。
溜まる涙を堪えて左右に首を振った。
暴走族なんて今まで関わって来た事なんて無い。
唯一…朱雀だけ。私は朱雀の皆さんしか知らない。
分からない。
どうして麒麟が私の事を探しているのか。
どうして私がまた対立のきっかけになったのか。
全部分からない。
「たくっ…さっさとこの女を麒麟に───────、」
バキッ、!
鈍く重たい音がした。
ピンク髪の人が宙を浮いている。
そして大きな音を立ててドラム缶にぶつかった。
カラン、立てかけられていた鉄パイプが床に散乱する。
じん…くん…?
「……仁、てめぇ…俺とも対立する気か!?」
ピンク髪の人が痛々しい顔で叫ぶ。
だけどそれを見ても誰も助けに行こうとしない。
代わりに出たのは小さな笑い声。
「喧嘩なら外でやれよ。埃が飛んでくるだろ~」
なんて女性の身体を触りながら言う男は何故か楽しそうだった。