白雪姫は寵愛されている【完】
ナイトと王子
結局全部のパーツは見つからなかった。
ビーズや片耳、綿…どれだけ探してもどこにもなかった。もしかしたら、朔也くんが分かってて持っていったのかもしれない。
鍵の付いた引き出しに全てを入れ、鍵を閉めた。
他のマスコットも同じ場所に入れて置いた。
…ッ、少しづつ直していこう。
朔也くんに見つからないように…。
翌朝、
起きると視界が薄暗かった。
触れると人の感触がある。
……さ、くやくん…。
正面にいるのは朔也くんで。私を抱き寄せるように寝ていた。
胸の方に顔を埋めていたから薄暗かったみたい。
どうして…ここに…。
私の部屋。私のベッドの上。
朔也くんの部屋は隣だ。
距離を取りたくなり、ゆっくりと離れる。
「どこ行くの」
ビクッとした。
顔を上げると目を開けている朔也くんがいた。
背中に回った手に力が入って動けなくなる。
「さ、先に起きてるね」
「なんで?」
「朝ごはん準備しないと…」
「いいよ、俺がするから。だからもう少し一緒に寝よ」
頭を撫でられる度、身体が強張る。
「ちゃんと指輪してて偉いね」
私の右手の薬指。光る宝石。
朔也くんがキスをし私を見つめる。
体を動かすたびにビクッとしてしまう。普通にしないといけないのに、勝手に反応してしまう。
「ねぇ、白雪」
頬を包む手が私の顔を上げる。
スマホを持つ朔也くんがいた。
「面白いの見せてあげるよ」
昨日と同じ不気味な笑い方。
凄く嫌な感じがする。
「だ…だいじょうぶです…」
「大丈夫。白雪の為の物だから」
無理矢理見させられたスマホには動画の再生マーク。
そしてそこに映っていたのは──────、
美雪ちゃんの…あられもない姿だった。