白雪姫は寵愛されている【完】
鉄パイプなどの武器を持った男達に囲まれている和也くん。
その男の人達は白い色の、麒麟と書かれた特攻服を着ていた。
和哉くんは中心で何度も土下座していた。
痛々しい姿で。何度も何度も……。
『お前が白雪に惚れるなんて…一億年早いよ』
朔也くんの声が響く。
「コイツは勝手に白雪に惚れて、手を出そうとした。だからとことんやったんだ。大好きなサッカーが二度と出来ないようにもしてやったんだよ」
──────誰?
目の前で今笑いながら話しているこの人は…私の知ってる朔也くんじゃない。
「言っただろ?俺は白雪の為なら何でもできるって」
私の…為?
違うでしょう?
「……自分の為でしょ…?」
動画内に残る朔也くん声は上擦っていた。私の為と言いながら嬉しそうなその声は、正当化しようとしているとしか考えられない。
朔也くんは首を傾げた後で、閃いたように言った。
「もしかして…俺が浮気していると思った?」
突然のとんちんかんな言葉に固まる。
覆いかぶさるように跨いで抱きしめてきた。
両手首を掴まれ身動きが取れなくなる。
「俺があの女を抱いてると思った?あんな女抱くわけないだろ?ヤッてたのは他の奴等。俺じゃない。俺は証拠として動画撮ってただけだよ。
それに…もし抱くとしたらそれは全部、相手の女を白雪だと思ってる。
そうじゃなきゃ反応しないから。俺」