白雪姫は寵愛されている【完】
首筋に朔也くんが近付き、痛みが走る。
昨日と同じあの痛みだ。
「ッ…!!」
顔を逸らし下唇を噛む。
何度も角度と場所を変え唇が触れた。
吸われている感覚とツン、とした痛み。
「──────…かわいい、」
堪えていた涙が目尻の奥へと流れる。
痛みだけじゃない。あんな事をされた美雪ちゃんの事を考えると涙が出て来る。
「……美雪ちゃん達に…もうあんな事しないで、ください…」
「あいつ等はヤられて当たり前な事をしたんだ。謝る必要なんてないだろ?」
「………私は…そんな事…望んでない、」
中学時代。確かに美雪ちゃんに仲間外れにされた事は悲しかった。変な噂を立てられたことも…だけど、だからといってこんな事、許されるべきじゃない。
朔也くんは私の涙を拭うとスマホを取り出した。
連絡先は分からない。だけど。
「あいつ等の監視はしなくていい。……飽きた」
そう言って通話を切った。
朔也くんは「これでいい?」と言うと私の唇を指の腹でなぞった。
私が頷くと朔也くんは微笑んだ。
「白雪のお願いを聞いたんだ。俺のお願いも聞いてくれるよね?」
満面の笑みだった。
ブツブツとあれも違う、これも違うと言っている。
そして「あー…」と言いながら私を見る──────、
「白雪の事。抱かせて」
………っ、え…?