白雪姫は寵愛されている【完】


────────時間は過ぎて夕飯時。



「白雪、もう一回頑張ろうか」

「…っ、はぁ…んっ」



何度も重なる唇は、今日1日で何度したのか分からない。

歯磨き後や掃除の際中、料理中の現在も…全部朔也くんのタイミングだった。


味噌汁が沸騰する音が聞こえる。

胸板を叩き、何度もそれを知らせるが、朔也くんは一向に避けようとしなかった。


「っ…はっ…ケホ…」


…息できなくて頭が痛い。
何度やっても慣れそうにない。


「まだ慣れない?」

「………味噌汁…」

「あっ、やばいやばい」


吹き出しそうになった瞬間に火を止めた。


「味噌汁が冷めるまでもう一回」

「ま…ってくださ…、んっ…!」


…もう、嫌…やめて。


思わず舌を噛んでしまった。
血の味がしてようやく朔也くんが離れる。



「──────ッ、駄目だろ白雪」




もう…十分しました。沢山した。もうしたくない…。

これ以上──────、
仁くんとのキスを忘れたくない。



「ご…めん…なさい…。ご、めんなさ…」



私が朔也くんを拒絶したらどうなるか…分かっているはずなのに。どうして私は歯向かうんだろう。

また電話すると言われたら…?
…朱雀の皆さんを守るって決めたのに。


「…分かった。今日はもう終わりにしよっか」


………いいの?


「急かさないって言ったのにね…ごめん。白雪とキスしていいって思ったら止まらなくなっちゃったんだ。ごめんね」


私は左右に首を振った。


< 284 / 344 >

この作品をシェア

pagetop