白雪姫は寵愛されている【完】


前と同じように夕飯を食べて、別々でお風呂に入って。
その間に朔也くんが食器を片付けてくれて…。

まるで今までの事が嘘だったように。いつも通りに時間が過ぎて、寝る時間が近付いて来た。


これで離れられるかな…?


私の部屋へと入ると続けて朔也くんが入る。
朔也くんが部屋から出たらやることがある。

視線の先にはクマのマスコットが入った引きだし。

朔也くんが部屋から出たら静かに直すつもり。
布団の中で光が漏れないように気を付けながら。


辛かったはずの心が落ち着いた。
私にとって仁くんが心の支えだった。


……あれ、


何故か一緒にベッドに入ってくる。


「シングルだと狭いね。新しく買いに行こうか」

「い…一緒に、寝るの…?」

「ん?当たり前だろ?でも安心して、まだ襲ったりしないから」



…ど、うしよう。それじゃあマスコット直せない。


「そういえば、月火も休みだったよね?その日に見に行こうか」

「……へ、平日だよ?」


文化祭の時の振替で四連休。遅れた休み連休だった。

でもそれは私の学校での話であって…社会人の朔也くんには全く関係の無い事だ。


「ん?ああ、俺本当は外で仕事してないんだ」


あの日探した会社の事を思い出した。全く見つけられなかった朔也くんの勤め先。

でも毎朝…スーツで…。
それに仕事してないならどこからお金…。


「毎朝行くふりしてたんだよ。ずーっとね。親父達の遺産は沢山あるし、それを元手に株やったりとか…それに俺麒麟の総長だからね。──────金はすぐ手に入るよ。どんな手を使っても貰えるんだよ。俺達は」


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