白雪姫は寵愛されている【完】
全て言い終えると難波先輩が離れる。
とても怒っている顔をしていた。
「…ご、ごめんな…さい…」
当たり前だ。私のせいで仁くんが刺されたのだから。
「…違うって。千雪ちゃんに怒ってるわけじゃねぇよ」
そう言って頭を撫でてくれたが、やっぱり顔は怒ったままだった。
「千雪ちゃん、家に帰りたいか?」
…家に?
左右に首を振ったが、途中で頷いた。
「帰らないと…朱雀の皆さんが。それに美琴さんから連絡…」
「俺等はそんなやわじゃねぇよ?馬鹿にすんなー?」
難波先輩は笑顔で私の頭をわしゃわしゃと撫でてきた。
「千雪ちゃんはここに居てくれ。あいつの事も俺が上手く言っとく。俺ら以外が来たら隠れてろ。いいな?」
私…いいのですか?
ここに居ても…、
「千雪ちゃんはもう俺等朱雀の仲間だろ。安心しろ。絶対守るから」
「っ…はい…」
大きく何度も頷くと、優しく笑い病室を出ていった。
一人になった事でまた不安になった。
だけどすぐにパチンと両頬を叩く。
一人じゃない。
深呼吸し、仁くんの方を見る。
”仁は眠ってるだけで命に別条はない”
難波先輩が教えてくれた。