白雪姫は寵愛されている【完】
鈍い音
付いた先は倉庫ではなく薄暗い誰もいない更地のような場所だった。
「…仁くん?」
どうしたんだろう。
さっきまで倉庫までの道のりだったのに…急にスピード上げて違う所曲がってた。
「千雪、その手に付いてるのはなんだ?」
「え、えっと…」
朔也くんに貰った指輪だ。
言われた通り差し出す。
仁くんの顔が濁る。
「これで付いて来たのか」
「…え?」
付いて来た?
何か踏む音が聞こえた。
足音はこっちに近づいてくる。
影から出てきたのは、朔也くんだった。
──────…ッ、
急いで仁くんの背後に隠れた。
「殺すつもりだったんだけどな?」
「そう簡単に死ねるかよ」
朔也くんに見られた。
どうしよう。どうしよう…。
「白雪、偉いね」
ビクッ!!
「言われた通り、指輪付けてたんだね。それは褒めてあげるよ」
指輪…。
キラキラ輝くダイヤの先に何かがちらつく。
「お陰で直ぐに探せたよ」
スマホの画面には点滅する赤い点。GPSの画面だった。
私…が外してきてさえいれば…。
「ごめ…なさ…じんくん…」
全部私が招いた事──────、
「千雪は悪くない。俺がもっと早く気付くべきだった。ごめんな」
「そんな…私がもっと…」