白雪姫は寵愛されている【完】
───────…?
少し軽くなった。体に乗っていた体重が無くなった気がした。
恐る恐る瞼を開けると…さっきまでいたはずの男子生徒がいない。
代わりにいたのは…、八神先輩と難波先輩。
八神先輩は屈んで、私の頬に手を添える。
「大丈夫か」
どう、して…ここにいるんですか…?
どうして…息を切らして…。
「守るって言ったのに…遅れて悪い」
先輩は優しく頭を撫でた。
プチンと線が切れたような音が自分の中でしたような気がした。沢山の涙が溢れて、溢れてしまって、止められない。
「っ…う、うぅ…」
八神先輩は何度も謝りながら、私を抱えて立ち上がった。
……暖かい。この人の胸はどうして落ち着くんだろう。
─────昨日しか、会っていないのに。
「な…なんで、仁様!慶様!なんでこんな女…!」
そう叫ぶ女生徒を八神先輩と難波先輩は無言で睨んだ。それを見ると、青ざめて黙り込む。
「こんな女?お前等よりも百倍いい女だ」
「仁、怒るな。抑えろ。千雪ちゃん怖がってる」
「…悪い、千雪」
八神先輩はまた申し訳なさそうに謝る。難波先輩は私を見て何かに気付き、自分の来ていたブレザーを私に掛けてくれた。前から包む形で。
「千雪ちゃん、俺ので悪いが使ってくれ」
そのやり取りに驚く女生徒と男子生徒。
一人だけ頬が赤い男子生徒がいる。
もしかしたら先輩達に殴られたのかもしれない。
「…なんで、そ、そんな」
歩き出す先輩達の背後で声がした。
二人は振り返ると、不敵に笑う。
「「次は容赦しない」」
その声に私も怖気ついた。