誓約付き!?期間限定の同居生活~不仲なはずの狼系ドクターは、義妹を寵愛する
富城さん・・・どんなに悔しかっただろう。
ドクターとして、1番身近な人の病気に気づけなかった自分を責めたに違いない。

「母方の祖父母は、父さんを責めたよ。娘を引き取るからと、離婚を突きつけられ、それからは、何も音沙汰が無い。亡くなったことは、誰からか聞いたけど、どこにお墓あるか分からないんだ」
「すみません、余計なことを聞いてしまって・・・」
「いつか話すつもりだったんだ」
寂しそうに微笑む先生に、胸が痛む。

「それから父さんは、笑顔を見せなくなった。『医者でありながら、大切な人を助けることが出来なかった』って、医者を辞めようとしていた。それでも、父さんを頼りに、次々に救う命が目の前にある。そんな父さんが、心の底から笑顔を見せるようになった。そうしてくれたのは、君のお母さん、礼子さんだ」

お母さんも気持ちが分かるんだ。
看護主任だったお母さんが、お父さんの異変に気づけなかったって、後悔してたから・・・

「父さんが開業した理由は、2つあってね」
「2つ?1つは、前にお母さんに聞いたことがあって、早期発見が出来るようにって聞きましたけど・・・」
「そう、美来の言う通り、1つは、大きな病院は、時間もかかるし、なかなか足を運びにくいからね。あと1つは、大切な人、礼子さんの傍にいて、守りたいからだよ」

私は、涙が溢れる。お母さんも富城さんと出会ってから、笑顔が増えたから。
「お母さんも、私も、先生達と出逢えて良かった・・・」
「それは、俺達も同じだ。さぁ、着いたよ。涙を拭いて」
先生は、私の背中を撫でて落ち着かせると、
「もう、大丈夫だな。2人が楽しみに待ってるから、行くぞ」
車から出ると、2人手を繋いで、玄関に向かった。
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