誓約付き!?期間限定の同居生活~不仲なはずの狼系ドクターは、義妹を寵愛する
事務室の奥側は、書庫と来客室で、あまり人が来ない。
「どうした美来?昨日から様子がおかしいし、そんなに目を腫らして。診察しろよ」

パチンッ!
私の頬に伸びる手を、反射的に叩いていた。
「他の女性を抱いた手で、触らないで!」
「はぁ?何言ってるんだ」
「子供まで作って・・・先生のこと、信じていたのに!」
「ちょっと来い!」
「離してください!」
「いいから来い!」

来客室に連れて行かれ、先生は鍵を閉めた。
「説明しろ。誰が他の女性を抱いて、子供を作ったって?」
「先生でしょ?私、2人が昨日話していたの、自分の耳で聞いたんだから!」
「昨日?あぁ、あの時の話か。あれは」
「入籍前に・・・誕生日のお祝いをして・・・子供まで」
「落ち着いて話を聞け」
「触らないで!」

先生の頬を叩こうとした時、手首を掴まれて、そのまま抱き寄せられた。
「離して!」
「離さないよ。絶対に」
「もう・・・嫌・・・」
今まで我慢してきた悲しみが、一気に溢れ出した。
「信じてたのに・・・」
「だから、あれは」

先生が何か言いかけた時、先生へ呼び出しコールがあり、電話を取った瞬間、私は先生の横を通り抜け、部屋を出て行った。

事務室には戻らず、人で溢れる1階のフロアに逃げたあと、庭に出た。
ダメだ・・・今日はまともに仕事が出来ない。
それに、先生はきっと合間に、また声をかけるはず・・・
逃げたい・・・

しばらくして事務室に戻り、主任の席に向かった。
「話、終わったの?」
「はい。主任、すみません・・・来たばかりですが、体調が悪くて、早退してもいいですか?」
「もちろんよ。無理しないようにね。土日ゆっくりしなさい」
「ありがとうございます」
私は急いで帰る準備をして、病院を飛び出した。
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